【失恋同盟】



「……変な言い方しないで」


「はは。ごめん。でも、そう思っただけ」



名残惜しそうに腕がほどかれて、急に冷たい空気が流れ込む。
さっきまで温かかった分、余計に寂しくなる。



「じゃ、今日はこれで解散」


「え……もう?」


「ルール、守んないと。『ハグ以上は禁止』」



いたずらっぽく片目を細めた佐成くんに、思わず言葉を失った。


(……ずるい。そんな顔する人だったんだ)


私が何も返せないでいる間に、佐成くんは手をひらひら振って、先に教室を出ていった。

残された空き教室で、胸に残る鼓動の余韻を確かめながら。
私はまだ、自分がどこへ向かっているのか分からなかった。


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