【失恋同盟】



そこからまた、沈黙が続いた。

でも、さっきまでの沈黙とは違う。
あったかくて、落ち着いてて、心が静かになる沈黙。


ホームルームの予鈴が鳴った。

その音で、ふたりの時間がそっと揺れる。



「篠原、ちょっとは腫れ引いた?」



佐成くんが、優しく声をかけてくれる。

保冷剤をはずして、鏡をちらっと見る。



「うん、ちょっとすっきりした」



そう言って笑うと、



「良かったね」


佐成くんもふっと笑った。


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