令和恋日和。 ~触れられない距離に恋をして~



  ***


 電話を切り、芙美はベランダに出て夜空を見上げた。都会の光に少し霞む星々が、静かに瞬いている。侑の声や、誠実な言葉が、まるで心のキャンバスに温かな色を塗るように、彼女を満たしていた。

 ――完璧じゃなくていい。こうやって、少しずつ歩幅を合わせていくんだ。

 同じ空の下、侑もホテルの窓辺で夜空を見上げていた。芙美の少し震えた声や、笑顔を取り戻した瞬間が、頭に浮かぶ。この小さなすれ違いが、逆に二人の絆を強くしたことを、彼は確かに感じていた。
 和解の夜は、新たに安心感を刻んで距離がまた近づいているのを感じた。


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