令和恋日和。 ~触れられない距離に恋をして~
ベンチに座りながら、芙美はふと侑の横顔を見つめた。眼鏡の縁に映る光、穏やかな表情、時折髪を揺らす風。彼の存在が、こんなにも心を満たすことに、彼女は静かに驚いていた。
「こんな時間が、ずっと続けばいいな……」
小さなつぶやきが、ぽろりとこぼれた。侑は振り返り、柔らかな笑みを浮かべた。
「続くよ。俺たちが望む限り」
その言葉は、これ以上なくシンプルで、それでいて胸に響く力を持っていた。芙美の心臓が軽く跳ね、頬に温かな熱が広がった。侑の手が、そっと彼女の手を握る。指先から伝わる温もりが、まるで心の奥まで届くようだった。