令和恋日和。 ~触れられない距離に恋をして~
第11話 互いの家族との触れ合い
日曜の午前、吉川芙美は実家の玄関前に立っていた。秋の陽射しが、庭の木々を柔らかく照らし、そよ風が葉を軽く揺らす。手に持った紙袋には、母が好きな抹茶のケーキと、父が好む煎茶が入っている。今日は、三浦侑を初めて家族に紹介する日。芙美の胸は、期待と緊張で小さく高鳴っていた。
侑さんを、家族に紹介するなんて。こんな日が来るなんて。
侑との関係は、温泉旅行や友人への紹介をしたりして少しずつ深まってきた。恋愛に慎重だった自分だけど、それでも、侑の誠実な笑顔や穏やかな声が彼女の心も変わっているようだった。
だが、家族に紹介するとなるとまるで二人の関係を新しいステージに進めるような、特別で少し怖い気持ちがした。
背後で足音が聞こえ、振り返ると侑が立っていた。休日らしいカジュアルなジャケットに白いシャツ、眼鏡の奥で光る瞳には、ほのかな緊張と柔らかな笑みが混じっている。