令和恋日和。 ~触れられない距離に恋をして~
ランチタイム、二人は美術館近くの小さなカフェに入った。窓越しの柔らかな光が、木製のテーブルを温かく照らしている。芙美と侑は小さなテーブルに向かい合って座り、サンドイッチとコーヒーを注文した。カフェの静かな音楽と、遠くで響く街のざわめきが、心地よい背景音となっていた。
侑がふと、笑いながらコーヒーカップを差し出した。
「はい、温かいうちに」
芙美はカップを受け取りながら、心がじんわりと温まるのを感じた。視線が合うだけで、言葉以上の気持ちが伝わる瞬間だった。侑の笑顔には、いつもの穏やかさに加えて、どこか特別な輝きがあった。芙美は、こんな風に誰かと過ごす時間が、こんなにも心地よいものだとは思っていなかった。
――この人と一緒にいると、日常がこんなにも特別になる。
その思いが、芙美の胸に静かに広がった。会話は、仕事の話から、好きな音楽や最近見た映画へと広がり、笑い声が絶えない。侑のさりげない冗談に、芙美は思わず笑い、頬が自然に緩むのを感じた。