令和恋日和。 ~触れられない距離に恋をして~
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夜空を見上げながら、芙美はアパートのベランダに立った。月の光が静かに街を照らし、遠くで電車の音が響く。恋には、こうした小さなすれ違いもあるのだと、彼女は静かに思った。だが、互いの気持ちを正直に伝え合えば、ちゃんと乗り越えられる。その確信が、彼女の心に温かな灯をともしていた。
同じ星空の下、侑もホテルの窓辺でコーヒーカップを手に、夜空を見上げていた。芙美の声、彼女の少し震えた言葉が、頭に浮かぶ。すれ違いを乗り越えたことで、二人の関係はより強く、より深くなる予感があった。
――芙美さんとの時間が、こんなにも大事だなんて。
侑は、口元に小さな笑みを浮かべた。この小さなすれ違いが、二人をさらに近づけるきっかけになるとは、まだ誰も知らなかった。