令和恋日和。 ~触れられない距離に恋をして~
メインディッシュを楽しみながら、侑が小さな声で呟いた。
「芙美さんとこうして過ごす時間が、すごく心地よいです」
その言葉に、芙美の胸は温かくなり、頬がさらに赤くなった。彼女は、侑の真剣な瞳を見つめながら、心の中で芽生えた感情が、静かに、だが確かに形になりつつあるのを感じた。
「私も……同じ気持ちです」
彼女の声は小さく、だが確かな想いが込められていた。侑の笑顔が、キャンドルの光に柔らかく輝く。その瞬間、芙美は、恋という言葉が、こんなにも自然に心に浮かぶことに驚いていた。いつも慎重だった自分。それでも、侑との時間は、まるで春の花が咲くように、彼女の心を温めていた。
夜の街のざわめきが、窓の外で遠く響く。レストランの静かな空間は、まるで二人だけの世界のように感じられた。時間がゆっくりと流れ、言葉以上の気持ちが、視線や手の触れ合いに込められていた。
デザートを食べ終えた後、侑が少し照れながら提案した。
「もしよければ、少し散歩しませんか?」
芙美は自然に頷き、二人はレストランを出て、夜の街をゆっくり歩き始めた。街灯の光が歩道を柔らかく照らし、そよ風に揺れる街路樹の葉が、まるで二人を静かに祝福しているようだった。歩きながら、侑の手が芙美の手にそっと重なった。言葉はなくても、互いの存在が心を満たす。芙美は、その温もりに、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。