令和恋日和。 ~触れられない距離に恋をして~



 小さな公園のベンチに腰を下ろすと、二人は互いを見つめ合った。街灯の光が、芙美の髪をほのかに照らし、侑の眼鏡の縁をきらめかせる。その距離感は、ぎこちなさではなく、甘く特別な温もりで満たされていた。
「芙美さん……」
 侑の声が、ほんの少し震えた。
「はい」
 芙美もまた、少し緊張しながら応えた。彼女の心は、期待と幸せで満たされていた。
 静かに、互いの手を重ねたまま、二人は夜空を見上げた。都会の光に少し霞む星々が、静かに瞬いている。その光が、まるで二人の未来をそっと照らしているようだった。芙美の胸の奥に、幸せがゆっくりと広がった。
 ――この夜は、私たちだけのもの。
 侑もまた、同じ思いを抱えていた。この甘くて特別な時間が、二人の心を確かに近づけていた。


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