令和恋日和。 ~触れられない距離に恋をして~
夜が更け、二人は並んでベランダに出た。都会の光に少し霞む星々が、静かに瞬いている。秋の夜風が頬を冷たく撫で、遠くで電車の音が響く。二人は手すりに寄りかかり、夜空を見上げた。静かな時間の中、互いの存在が当たり前に、しかし特別に感じられた。
侑がそっと芙美の手を握ると、彼女もまた、軽く握り返した。言葉はなくても、互いの温もりが心を満たす。
――この日常を、大切にしていこう。
芙美の心に、その思いが静かに根を下ろした。侑もまた、同じ誓いを胸に抱いていた。小さな幸せの積み重ねが、二人の関係をより深く、より穏やかにしていた。
夜空の下、二人は手を握り合い、静かに夜を過ごした。日常に溶け込む二人は、これからも確かな温かさで彩られていくのだった。