青春とりもどせない症候群
右手で口を押さえた彼の喉から、今まで聞いたことがない音がした。
「ガシャポンやってる場合じゃなかっ、」
「会社にはもう育休申請してある」
「結婚しよ!!」
「断る」
「何で!!」
「めんどい」
しばし彼が無言で私をにらんだ。私はその顔をぼんやりとながめていた。
「……本当に俺の子?」
「ドロップキックと4の字固めどっちが良い?」
「やめてお腹の子にさわる」
とたんにあわてはじめて自分の着ていた上着を私のひざにかけたり、ここ寒くない? 席代わろうか? と言いはじめる彼を私は面白い気持ちで観察する。へえ、こう言う風になるんだ。
「ねぇ、きみのご両親にあいさつ」
「めんどい」
「きちんとしようよ、そう言うの!!」
「養育費さえもらえればあとはどうでも良いから」
「俺が良くねぇんだよ!!」
流れつづけている「君が好き」。
「人生あと50年として、結婚にどれだけのメリットがあるの。中学生だって3年で卒業するんだよ?」
「俺がきみと結婚したい」
「断る」
「断るなよ!!」
「事実婚で良いじゃん」
「ガシャポンやってる場合じゃなかっ、」
「会社にはもう育休申請してある」
「結婚しよ!!」
「断る」
「何で!!」
「めんどい」
しばし彼が無言で私をにらんだ。私はその顔をぼんやりとながめていた。
「……本当に俺の子?」
「ドロップキックと4の字固めどっちが良い?」
「やめてお腹の子にさわる」
とたんにあわてはじめて自分の着ていた上着を私のひざにかけたり、ここ寒くない? 席代わろうか? と言いはじめる彼を私は面白い気持ちで観察する。へえ、こう言う風になるんだ。
「ねぇ、きみのご両親にあいさつ」
「めんどい」
「きちんとしようよ、そう言うの!!」
「養育費さえもらえればあとはどうでも良いから」
「俺が良くねぇんだよ!!」
流れつづけている「君が好き」。
「人生あと50年として、結婚にどれだけのメリットがあるの。中学生だって3年で卒業するんだよ?」
「俺がきみと結婚したい」
「断る」
「断るなよ!!」
「事実婚で良いじゃん」