青春とりもどせない症候群
この世のすべての音がラブソングになるみたいな夜だ。
「愛させてくれよ!!」
「どうしよっかな」
こうやって、永遠にきみともだもだしていたい(ような)。

渋々と言う顔で彼が立ち上がりレジへ向かう。あぁ、凛々しいな。
そして、店員さんと何か話してビックリした顔になり、あわてたようにきょろきょろして頭を深々と下げ、
私のところへ足早に戻ってきた。
「お会計、誰かがしてくれてた」
「えっ?」
「お祝いだって」
「あ」

10代の青春とはまた違うテイストの甘酸っぱさで顔のほてりが止まらない。

「ねぇ」
「なに」
「子供が生まれてもさ、
私といっしょに、駄菓子大人買いしたい、とか、かき氷にシロップ全種類かけたい、とか、
そう言う話をしてくれる?」
「もちろん」
「私たちといっしょに飛行機見に行ってくれる?」
「俺からお願いしたい」
「フフッ」

「結婚してくれないか」
「断る」
こうやって、永遠にきみともだもだしていようかな。

「お客様。
あちらのお客様からです」
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