甘く苦く君を思う
彼はそんな私の様子に気がつき、彼から距離を取ろうとした私の手を掴んだ。

「沙夜?」

ふと優しい声が私の耳をくすぐる。

「ごめん、なんでもないの」

俯く私をそっと後ろから包み込むように抱きしめてきた彼の手はとても大きくて安心感があった。

「俺は沙夜が好きだよ。何が不安? 俺は沙夜とこうして一緒にいられて本当に幸せだと思っている。他の誰でもない、沙夜とだから感じるんだ」

彼は私の頭にキスを落とす。

「私も好き……」

その言葉に嘘はない。本当に彼が好きだからこそ、何もかも気になってしまうの。情けないけど、こんな私でも彼が好きでいてくれることに幸せを感じる。
彼はそっと私を振り向かせると唇を重ねてきた。
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