甘く苦く君を思う
「ねぇ、渚。さっきのおじちゃんとはなんのお話したの?」
「うんとね、ちょっとへんなの」
「どんなふうに?」
「うーんとー、なんかー、いちごがすきなの」
ついこの前2歳になったばかりの渚には難しい質問だったのだろう。いちごが好きな話をしたのだろうか?それさえも怪しい。でも、渚が彼を警戒せずに話したのは意外だった。渚の知ってる男の人は横井さんのご主人と私の父くらい。保育士さんもみんな女性なので、渚は女性に対してはフレンドリーだが、男性に対しては一歩引き無言になることが多いのだ。それなのに笑って昴さんと話していたのは驚きだ。何があったのだろう。
結局渚から話は聞けず、着替え終わると私たちは店を出た。どこかでおにぎりを買い、それを持って公園に行こうかとふたりで話していると後ろから呼び止められた。
「沙夜」
この声……、昴さんだ。一気に心拍数が上がる。振り返るとそこには彼が立っていた。
「おじちゃん」
渚が彼を指した。すると彼は表情を緩め渚に手を振り合図した。
「少しいい?」
思わず一歩後退りした私を見て彼の表情は一瞬悲しげに見えた。
「ごめんなさい。話すことはないです」
そう言うと渚の手を引き歩き出す。すると彼は私の後ろから追い縋るように声をかけてくる。
「沙夜が話を聞いてくれるまで何度でも来るよ。どうしても話したいんだ」
「どうして? もう放っておいてください」
私は渚を抱き上げると歩き出した。彼の声を聞いて切なくなる。
私だってあの時昴さんに話を聞いてほしかった。どうして私を信じてくれないのか情けなくて悔しくて胸を抉られる思いだった。
あの時の気持ちが込み上げてきて涙が出てきた。
すると渚は心配するように私の顔を覗き込むと手を伸ばし頭を撫でてくれる。
「まぁま?」
「ごめんね、大丈夫よ」
涙を拭うと渚に心配をかけないよう笑う。それでも繊細な渚はまだ不安そう。ふたりで暮らしているので私の機微に敏感だ。大きく深呼吸すると改めて笑顔を見せ、お昼に何を食べようかと話を逸らすと徐々に落ち着いたのか渚も笑顔を見せてくれホッとした。
「うんとね、ちょっとへんなの」
「どんなふうに?」
「うーんとー、なんかー、いちごがすきなの」
ついこの前2歳になったばかりの渚には難しい質問だったのだろう。いちごが好きな話をしたのだろうか?それさえも怪しい。でも、渚が彼を警戒せずに話したのは意外だった。渚の知ってる男の人は横井さんのご主人と私の父くらい。保育士さんもみんな女性なので、渚は女性に対してはフレンドリーだが、男性に対しては一歩引き無言になることが多いのだ。それなのに笑って昴さんと話していたのは驚きだ。何があったのだろう。
結局渚から話は聞けず、着替え終わると私たちは店を出た。どこかでおにぎりを買い、それを持って公園に行こうかとふたりで話していると後ろから呼び止められた。
「沙夜」
この声……、昴さんだ。一気に心拍数が上がる。振り返るとそこには彼が立っていた。
「おじちゃん」
渚が彼を指した。すると彼は表情を緩め渚に手を振り合図した。
「少しいい?」
思わず一歩後退りした私を見て彼の表情は一瞬悲しげに見えた。
「ごめんなさい。話すことはないです」
そう言うと渚の手を引き歩き出す。すると彼は私の後ろから追い縋るように声をかけてくる。
「沙夜が話を聞いてくれるまで何度でも来るよ。どうしても話したいんだ」
「どうして? もう放っておいてください」
私は渚を抱き上げると歩き出した。彼の声を聞いて切なくなる。
私だってあの時昴さんに話を聞いてほしかった。どうして私を信じてくれないのか情けなくて悔しくて胸を抉られる思いだった。
あの時の気持ちが込み上げてきて涙が出てきた。
すると渚は心配するように私の顔を覗き込むと手を伸ばし頭を撫でてくれる。
「まぁま?」
「ごめんね、大丈夫よ」
涙を拭うと渚に心配をかけないよう笑う。それでも繊細な渚はまだ不安そう。ふたりで暮らしているので私の機微に敏感だ。大きく深呼吸すると改めて笑顔を見せ、お昼に何を食べようかと話を逸らすと徐々に落ち着いたのか渚も笑顔を見せてくれホッとした。