甘く苦く君を思う
「お待たせ」

急いで彼のもとに走り寄るとすぐに手を取られた。

「お腹は?」

「もちろんペコペコ」

「俺も」

「そうでしょう。だからさっき軽めのものにしたの」

仕事終わりに来てくれたのを見て、きっとこの後一緒に食事ができると思いわざとムースにしたのだ。

「策士だな」

そう笑って話す彼の横顔を見ているだけで幸せになった。
彼は高級そうな店も知っていたが、私が気楽な場所がいいと言えば商店街のカフェに連れていってくれたり、定食屋に連れていってくれることもあった。
今日も連れていってくれたのはラーメン屋さん。きっと甘いものを食べたからしょっぱいものが食べたくなったのだろう。
こんな飾らない彼にどんどん惹かれていく自分が少し怖い。今まで付き合った人とは何かが違う。そんな気持ちになっていった。
このままずっと一緒にいたいと強くそう思った。
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