英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
どうやら穏便に済むかもしれないなんて考えは甘かったようだ。無遠慮に吐きかけられるセリフには、冷めやらぬ怒りと強烈な毒が含まれていた。
記憶喪失のふりをしていると思われるのは構わないが、離婚のことまで踏み込まれるのは、嫌な感じがした。少しだけ、反抗の意志が口をついて出てしまう。
「詮索は、どうかご遠慮ください……」
「あら、聞かせてよ。だって、とても興味があるの。ルシウス卿って、すごく素敵じゃない? わたくしの馬車を護衛してもらったときも、襲ってきた魔獣から身を挺して守ってくださって……一瞬で虜になってしまったわ」
蛇が獲物を見るような視線を向けられて、ぞくりと肌が粟立った。
彼女は、儚く手折られた花などではない。執念深く計算高い、己の幸せに貪欲な女性だ。王太子妃になる道を諦めたと聞くが、今度は英雄であるルシウス様に目をつけ、妻の座を奪おうと狙っているのかもしれない。
記憶喪失のふりをしていると思われるのは構わないが、離婚のことまで踏み込まれるのは、嫌な感じがした。少しだけ、反抗の意志が口をついて出てしまう。
「詮索は、どうかご遠慮ください……」
「あら、聞かせてよ。だって、とても興味があるの。ルシウス卿って、すごく素敵じゃない? わたくしの馬車を護衛してもらったときも、襲ってきた魔獣から身を挺して守ってくださって……一瞬で虜になってしまったわ」
蛇が獲物を見るような視線を向けられて、ぞくりと肌が粟立った。
彼女は、儚く手折られた花などではない。執念深く計算高い、己の幸せに貪欲な女性だ。王太子妃になる道を諦めたと聞くが、今度は英雄であるルシウス様に目をつけ、妻の座を奪おうと狙っているのかもしれない。