英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 一介の侍女が、仮にも領主夫人であるわたしに対して取る態度としては、あんまりではないか。だが、姫は静観している。侍女たちの言動を容認しているのだ。

 もうお互い様な気もするが、先にこちらが無礼を働いたのは事実である。それならば、形だけでも謝って、ここで片をつけようと頭を下げた。

「わかりました。暴言を謝罪いたします」

 すると、にんまりと口角を上げた姫が、扇で地面を指し示した。

「それじゃあ……ここに這いつくばって、わたくしの靴を舐めてくださる?」

「え?」

 さぁっと血の気が引いていく。思わず相手の顔を見つめ返すと、姫の目が笑っていないことに気づいた。彼女は本気なのだ。
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