英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「さぁ早く」

 姫が目で合図すると、侍女らが素早く行動を起こした。こちらが後ずさるよりも先に距離を詰め、わたしをひざまずかせようと、こぞって手を伸ばしてくる。

「やめて、寄らないで――!」

 恐怖にかられ、思わず大声を上げた、そのとき――。

「アレクシア? そこにいるのか」

 重みのある声で名を呼ばれて、心が軽くなった気がした。
 薄暗い廊下の奥から、勇ましい足音が近づいてくる。程なく姿を現したのは、ルシウス様だ。

「ルシウス様……!」
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