英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 安堵の気持ちが溢れてきて、すがるように彼を見つめる。
 その心が伝わったのか、彼は怪訝な表情を浮かべると、探るような視線を姫のほうへ向けた。だがそのときにはすでにあちらの部下は元いた位置に立ち戻り、なにごともなかったかのように平然と控えている。
 同様に澄まし顔を浮かべた姫は、優雅にドレスの裾をつまみ、軽く頭を下げた。

「ルシウス卿。ご機嫌よう」

「イレーヌ姫。ここでなにを?」

「賑やかだったので、覗きにきたのです。そうしたらアレクシア様にお会いしたので、少しお話を」

「それにしては物騒な気配がしていましたが。どのような話をされたのですか」
< 129 / 398 >

この作品をシェア

pagetop