英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 思わず眉間を指で押さえると、気を遣ったヒルダが声のトーンを上げて話を切り替えた。

「とはいえ、警戒を緩めないことは大切です。彼女の中身はどうあれ、器は変わりませんからね。ルシウス様をライバル視するブラッドリー侯爵が、なんの企みもなく娘をよこすとは思えません。もしかしたら、娘に記憶をなくす術をかけておき、こちらが油断したところで、元に戻った彼女がなにか仕掛けてくる可能性も――」

「人間は妖術を使えない。それに俺以外の人間が魔獣を従えることは不可能だ。よってその線は限りなく薄いな」

 だが、アレクシアの魂の入れ替わりに関しては、なんともいえない。元に戻る可能性がないとは言い切れなかった。

 今のアレクシアが消えて、前のアレクシアに戻ったら――そのとき、俺はどうするのだろう。胸のざわつきを散らそうと、目を閉じる。
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