英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「ルシウス様がどう思われているかは、彼にしかわかりませんよね」
「なんですって!?」

 イレーヌ姫の目が吊り上がる。だが、もう遠慮するつもりはない。彼女の言うとおり、わたしがルシウス様と夫婦でいられる時間は限られているのだ。

「こんなことをしても、ご自分を貶めるだけです」

 きっぱりとそう告げて相手の目を見つめると、姫の頬がぴくりと引き攣ったのがわかる。
 しかし彼女はすぐに皮肉な笑みを浮かべ、呪詛めいた言葉を吐いた。

「……今にわかるわ。ルシウス卿が誰を求めているのか」

 悪いものを植えつけられた気がして、心がざわめく。
 わたしの強張った顔を見て満足したらしい彼女は、不穏な気配を残して引き上げていった。

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