英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 それから二日後の晩。
 相変わらず目つきの鋭いイレーヌ姫の侍女がわたしの部屋を訪れ、主からだと言って、一通の手紙を置いていった。高級感のある薔薇色の封筒を開くと、中の便せんには次のような文面が書かれている。

『ルシウス卿とアレクシア様に感謝の品をお渡ししたいので、今夜八時に庭園までお越しください。イレーヌ・シャドナ』

 八時といえば、もう間もなくその時刻になろうという頃合いだ。
 こんな遅い時間に猶予もなく呼び出されることを不思議に思いつつも、ルシウス様もそこに来るのならと、重い腰を上げた。

 いそいそとランプを片手に庭に出ると、しっとりとした夜の空気が身を包む。散歩道には随所に明かりが灯され、想像していたよりも雰囲気はよかった。
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