英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 策略、王太子、橋の工作――不穏な単語が並び、心がざわめく。

 情報を整理するに、イレーヌ姫の長期滞在は、王太子により仕組まれたことだったらしい。それにしても後宮から不要な姫を返す機会を利用するなんて、酷い話である。

 顔を上げたルシウス様は、そんなゴシップなどくだらないとばかりに一笑に付した。

「評判など、なんとも思いません。噂もそのうち消えるでしょう」

「あなたね……のんきに構えていられる問題じゃないのよ。後宮にいる頃から関係があったと見なされれば、不義の罪になるわ。下手すれば断罪されていたかもしれないのに」

「すでに退去させましたので、問題はありません」

 深く取り合おうとしないルシウス様に、グレイス様は呆れ顔だ。

「おい、ルシウス。念のため聞くが……。おまえ、姫と関係は、持ってないんだな?」
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