英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「当たり前です。俺は結婚していて、妻がいるのですから」

「その結婚があったから、余計に話が大きくなったんだろう。なにせ妻というのが、かの有名な……」

 ブラウンの瞳が、ちらりとこちらを向いた。続く言葉は濁されたが、深く考えなくても予想はつく。「妻というのが評判の悪いアレクシアだから」と言いたいのだろう。

 わたしという悪妻を抱えた気の毒な英雄と、後宮の夢破れた可哀そうな姫。そんな組み合わせだからこそ、余計に人々の想像を掻き立てたのかもしれない。

 知らず唇を嚙みしめていると、「アレクシア」と声がかかった。隣を仰げば、穏やかな青い瞳がこちらに向けられている。気にするなと励ましてくれているのだ。

「ルシウス様……」
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