英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 小さく微笑んで見せると彼は安心した表情を浮かべ、話の席に戻った。

「噂の話はもういいでしょう。ほかに、施設で事件があったと手紙にはありましたが?」

「それは機密に触れる話よ。よそ者がいては話せないわ。あなた、席をはずしなさい」

 急に目を吊り上げたグレイス様が、手に持っていた扇の先をわたしに突きつけた。
 いきなりのことに竦み上がった直後、横から鋭い声が挟まれる。

「いいえ。彼女はよそ者ではなく俺の伴侶。話を共有しても問題はないかと」
「な、なんですって……? その娘を庇うなんて、いったいどういうこと……?」

 青ざめたグレイス様を気遣ってか、リアム殿下が間に入った。

「まぁまぁ。仕事の件は、レディに聞かせるものじゃない。僕が説明するよ。ルシウス、ちょっとあっちへ行こう」
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