義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます
気になって顔を覗き込むと――
「おまえ……他の男には、こんなこと絶対するなよ」
兄は視線を逸らしながら、ぼそっと呟いた。
少し照れているようにも見える。
どうして?
私の頭上に、はてなマークが浮かんだ。
「ははっ。咲夜くんは本当に唯のことを大切に想ってくれてるんだね。ありがとう」
父はなぜかにこにこ微笑みながら、うんうんと頷いている。
「まあ……妹だし」
兄のその一言が胸に突き刺さる。
――い、痛い……。
その言葉を聞くたび、現実を突きつけられる気がして辛かった。
そのとき、コンコンと扉をノックする音が響いた。
「はい」
父が答えると、扉が静かに開く。
「失礼します。南さんを迎えに来ました」
現れたのは、隣のクラスを受け持つ神崎先生だった。
優しそうな雰囲気の若い女性教師で、生徒たちとも友達のように接している。
そのため、みんなからとても人気があり、親しまれていた。
「あなたが南優さんね。よろしく。私はあなたの担任の神崎です」
先生がにこやかに手を差し出してくる。
「あ、よろしくお願いします」
私も少し緊張しながら手を差し出し、握手を交わした。