義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます
「それじゃあ、行きましょうか。クラスへ案内するわね」
先生は父に一礼し、静かに部屋を出ていった。
私は振り返って父と兄を見つめる。
二人は黙って深く頷いてくれた。
――大丈夫。安心して行っておいで。
そんな声が聞こえてきそうで、胸がじんわりと温かくなる。
私は覚悟を決め、理事長室を後にした。
神崎先生のあとを歩いていくうちに、緊張がじわじわと増してくる。
はあ……心臓がバクバクする。
どうか、何事もなく一日が終わりますように。
そして、正体がバレませんように!
ふと気づけば、自分のクラスの前を通り過ぎていた。
なんだか、不思議な感覚。
そうか、唯と優はクラスが違うんだ。
同じクラスだったら、交代でいることにすぐ気づかれてしまう。
クラスを分けるなんて……お父さん、なかなかの策士だな。
やるじゃん!
そんなことを考えているうちに、先生が立ち止まった。
「南さん、ここがあなたのクラスよ。皆に紹介するから、どうぞ入って」
先生がドアを開け、教室の中へ入っていく。
よし、行こう!
私は心の中で自分にエールを送った。
大丈夫、きっとうまくいく。
そのとき、兄の顔がふと脳裏に浮かんだ。
――私には、大切な人たちがついている。