義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

 ダイニングへ行くと、すでに父と兄が席についていた。
 母は朝食をテーブルに運んでいる最中だ。

「あ、唯ちゃん、おはよう~。よく眠れた?」

 母がにっこりと微笑む。
 その表情はどこか意味深で、ふふふっと笑いながら目玉焼きをテーブルに置いた。

「唯、おはよう」

 父も、いつものように爽やかな笑顔を向けてきた。
 ……とりあえず、ほっと胸をなで下ろす。

 昨日のあの怒鳴りっぷりが嘘みたい。
 あのときは相当取り乱していたようだったけど、もう大丈夫なのかな?

 父の様子を気にしつつ席につくと、兄が声をかけてきた。

「おはよ」

 ちょっと照れながら、視線を逸らして返す。

「……おはよ」

「おまえ、また寝癖ついてんぞ」

「え! 嘘!?」

「嘘ー」

 楽しそうに笑う兄に、私は頬をふくらませてじろりと睨んだ。

 こういうところ、全然変わってない。
 ……ほんとに両想いになったんだよね?って、ちょっと疑いたくなる。

「おほんっ」

 なぜか父が妙な咳払いをした。

「さ、ご飯にしよう」

 父がそう言うと、母が最後に野菜ジュースの入ったピッチャーを運んできて、みんなに注いでまわる。
 席についた母が「それでは、いただきます」と言うと、みんなの声が重なった。

『いただきます』


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