義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

 食事が始まって少し経ったころ、母がぽつりとつぶやいた。

「あーあ、私、優ちゃんのことも可愛くて気に入ってたんだけど……。少し残念ねえ」

 私は目を丸くして母を見る。

「な、何言ってんの?」

 また出たよ、母の天然。
 肩の力が抜ける。

 ほんとにもう。
 どれだけあの変身騒動に振り回されたと思ってるの、わかってる?

「そうだねえ、優くんも可愛かった。
 でも、やっぱり唯は唯じゃなきゃ。本当に元に戻ってよかった」

 父がにこやかに笑いかけてくれる。
 その言葉が胸にすっと染み込んできて、思わず顔がゆるんだ。
 ――やっぱりお父さんは、優しい。

 照れくさくて、でも素直に嬉しかった。

「そういえば、優、結構人気あったんだぜ。
 女子たちが騒いでたな。どこぞのアイドルみたいに可愛いって」

 兄が思い出したように言うと、私はぽかんと兄を見つめた。

 そ、そんなことがあったの? 意外……でもないか。
 兄がモテるなら、私もそこそこイケてたのかも?
 ――意外と似てたりするのかな。

「ほら~、やっぱり。男の子でも唯ちゃんモテてたのよ~。
 イケメン兄弟として、名を馳せてたんじゃない?」

 母が夢心地で宙を見上げ、うっとりと手を合わせる。

 メルヘンチックな母にあきれて、何も言えない。
 本当にもう……この人は。

< 285 / 296 >

この作品をシェア

pagetop