義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

 そう思ったとき、母が何かを思いついたようにパチンと手を打った。

「あ、でもそれだと困るわよねえ、ね、咲夜」

「あ? ああ、まあな……」

 兄が少し照れたように私をちらっと横目で見た。
 その仕草に、ドキッとする。

 そ、それって……。

「おっっほん!」

 先ほどより明らかに大きな咳払い。

「一つ言っておくけれど……」

 父が口を開いた。

「別に、咲夜くんと唯の交際を認めないわけじゃないよ。
 大好きな二人が一緒になってくれて、嬉しい。嬉しいんだけど……」

 言いかけて、父は難しい顔で言葉を止めた。
 母はくすくすと小さく笑っている。

「あれだ、その……まだいろいろ早いんじゃないかと思ってだな。
 二人が結婚するまでは、その、清い交際を……お願いしたい」

 顔を真っ赤にして、父がぼそぼそと語る。

 ぽかんと固まる私。
 困ったように頭をかく兄。

 その様子を、母はニコニコと楽しそうに眺めていた。

「あっ、もうこんな時間! 唯ちゃん、咲夜、急いで」

 母の声に時計を見ると、登校時間が迫っていた。
 私と兄は急いで朝食をたいらげ、鞄を手に玄関へと向かう。

『いってきまーす!』

 複雑そうな顔の父と、にこにこと笑う母に見送られながら、私たちは家を後にした。


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