義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

 その夜――。
 今日は、父と母がディナーに出掛ける日だった。

 月に一度、両親がふたりきりで食事を楽しむために決めた、わが家のルール。
 それは結婚当初から続いている習慣だった。

「唯ちゃん、咲夜、ふたりで仲良くお留守番お願いね~」

 母が父の腕にからみ、寄り添いながら頬を染める。

「二人とも、行ってきます」

 父もまんざらでもない様子で、母に寄り添い照れ笑いを浮かべていた。

 ほんとうに、いったいいつまで恋人気分が抜けないのやら。
 でもまあ、仲がいいのはいいことだよね。

「行ってらっしゃい」

 私と兄は笑顔でふたりを見送った。

 両親が出かけると、家には私と兄のふたりだけ。
 毎月のことなのに、この時間だけはどうしても胸が高鳴ってしまう。

 兄妹なんだから、そんなふうに気にする必要はないはずだよね。
 でも、何度言い聞かせても、心が勝手に反応してしまうのだ。

 ちらりと兄を盗み見る。

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