義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます
思わず顔が熱くなる。
けれど隣で、流斗さんはおかしそうに肩を揺らし笑っていた。
「わかってるって。唯さんのこと、大切にするから。
僕も本当の彼氏に昇格したいし、唯さんの嫌がることは絶対にしないよ」
その言葉に、驚いて目を丸くする。
え? 今すごい発言が……。
呆然としていると、兄が私の手を強引に掴んだ。
「ほら、行くぞ」
そのまま、当然のように引っ張っていく。
いま交際を発表したばかりなのに、彼氏の前で手を繋ぐ!?
どういう神経してんのよ、お兄ちゃん!
私は振り返って流斗さんの様子をうかがった。
彼は笑顔を崩さず、肩をすくめている。
さすが親友。
こういう兄の行動にも、慣れているのかもしれない。
けれど、流斗さんの笑顔の奥に、ほんの少しだけ――寂しげな色が見えた気がした。