義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます
蘭と別れた私は、兄と流斗さんに挟まれる形で通学路を歩きはじめた。
これまでは、兄に触れるたびドキドキしていたけど、今は流斗さんに触れても胸が高鳴る。
先ほどから何度も、流斗さんの腕や肩が私に触れて。そのたびに心臓が跳ねる。
どうしよう、なんだか落ち着かない……。
気を紛らわせようと、私は兄に声をかけた。
「今日の晩御飯って、何かな?」
唐突すぎる話題に、兄が怪訝そうな顔を向けた。
「は? 知らねえよ。まあ、母さんの料理は何でもうまいけどな」
「そ、そうだね」
「へえ、そうなんですか? 僕も食べたいなあ」
会話に割り込んできた流斗さんが、兄に笑いかけたあと、私にも眩しい笑顔を向ける。
その視線に耐えきれず、私はぎこちない笑みを返した。
顔、ひきつってないよね? 不安でたまらない。
変に思われないように、話題を振ってみた。
「あの、流斗さんの好きな食べ物って何ですか?」
自分で言っておいて、顔がじんわり熱くなる。
……もう、なにこの小学生みたいな質問!
「そうですね……。唯さんが作ってくれる料理なら何でも好きですよ。今度作ってほしいな」
眩しい笑顔とともに飛び出したその言葉。
『とんでもないリクエストしないでぇぇぇ!!』
内心で叫びながら、私はまた、ぎこちなく笑った。