明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
志郎さんがお風呂に入っているところへ、私はそっと薄衣をまとったまま入った。

「……お背中、流します。」

勇気を振り絞って声をかけると、志郎さんは湯船から静かに立ち上がった。

湯気の向こうに現れた均整の取れた体。

思わず息をのんでしまう。

「お願いする。」

低く落ち着いた声に促され、私は震える指で布に石鹸を含ませ、彼の広い背を撫でるように洗った。

「ちゃんと……洗えています?」

恥ずかしさで俯いたまま問いかけると、志郎さんが柔らかく笑った。

「ああ、大丈夫だよ。」

その安心に胸をなで下ろした瞬間、背後から布を取られ、肩口に熱い手が触れた。

「志郎さんっ!」

振り返る間もなく、薄衣がするりと脱がされる。

「結婚するんだ。」

彼の瞳がまっすぐに私を射抜く。

「もういいだろう。」

湯気に包まれた空間で、私は熱に溶けるように彼の腕に抱き寄せられた。

胸の鼓動は早鐘のように鳴り響き、逃げ出すことなどできはしない。

「……はい。」

か細い声で答えたその瞬間、湯気の中で唇が重なった。
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