この恋を運命にするために


「信士さんのTシャツも素敵ですね」
「××というヴィンテージものなんです」
「へー! 古着がお好きなんですか」
「まあ、嫌いではないです」


 うちの兄さんなんて着るものに全くこだわりなくて、私がコーディネートしてあげていた程だけど信士さんはオシャレなのね。
 信士さんは古着好きだということをインプットした。


「まずはランチですよね。何を食べますか?」
「行きつけの中華料理屋がありますが」
「信士さんのおすすめですか! 行ってみたいです!」
「わかりました」


 そうして中華街の方に向かってたどり着いたお店は、見たことのある高級中華料理店だった。


「あれ、ここTVで見ました……」


 確かミシュランで一つ星を獲得したという中華料理屋じゃなかったっけ?
 そんなところが行きつけなの!?


「おお、信士くん! 久しぶりだねぇ!」
「ご無沙汰しています」


 お店から出てきたのはTVに出演していたシェフだ。


「なんだ、デートかい? 個室を用意しようか」
「いえ、予約もなく急に押しかけたのに申し訳ないです」
「いやいや、うちのお得意様なんだから遠慮しないでくれ」


 そうして案内されたのは明らかなVIPルームだった。
 驚きの連続でまともに挨拶した記憶がないまま、気づいたら豪奢な椅子に座っていた。


「ランチコースでいいですか? 蘭さん」
「は、はい……」
「ではいつもので」


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