この恋を運命にするために
良ければ是非来てください、と蘭さんから千寿流華道展覧会のチケットをもらった。
俺以外の刑事にも展覧会のフライヤーを配っていたが、多分チケットを渡されたのは俺だけだ。
下心は丸わかりだが……どうする?
「まあ、行ってみるだけ行ってもいいか」
千寿流の生け花がどんなものか興味はあるし。
「信士さん! 来てくださったのですね」
俺の顔を見ると、蘭さんはぱあっと表情を明るくさせた。
小動物みたいで不覚にもかわいいと思ってしまった。
「仕事で近くに寄ったので。千寿流の生け花にも興味ありましたしね」
「どうぞゆっくりご覧になってください!」
嬉しくて仕方ないという風で、声は弾んでいる。
思っていることがそのまま顔に出る人なんだな。
「ご案内したいところなんですが、他にもお迎えする方がいまして……」
「私のことは気にしないでください」
「あ、はい。どうぞ楽しんでいってくださいね」
あからさまに残念そうにしていた。
もっと話したい、と顔に書いてある。
本当に素直な人だな、と内心で笑いながら生け花を見て回った。
花には詳しくないが、どの作品も見事だと思った。
ある作品の前で足を止めた。
蘭さんが生けた作品だった。
「……綺麗だな」