この恋を運命にするために
引っ込んだはずだったが、再び涙腺が緩み出す。
信士くんにとって、信頼できる相手になれていたことが嬉しい。
やっぱり私の信じた直感は間違っていなかったのだ。
「やっぱり私たち、運命だったのよ」
「いや、それは違うと思うよ」
「ええ!?」
この流れで否定されるとは思わず、地味にショックを受ける。
けれど信士くんは私の気持ちを察してか、楽しそうに笑っていた。
「運命って言い方すると最初から決められてたってニュアンスじゃない。そうじゃなくて、蘭ちゃんが強引に運命にしちゃったって感じ」
「強引に運命って……私そんなにガツガツしてた!?」
「ガツガツはしてないけど、グイグイはしてたね」
「うっ……」
「まあ、それでまんまと落とされたんだけどね」
信士くんは私の肩を抱き寄せ、頬を寄せる。
隣同士に座った時から距離が近くてドキドキしてたけど、まさかここまで密着されるとは思っていなくて心臓が破裂しそう。
恋人になったら意外と甘々なギャップがあるなんて、この人はどこまで私を沼に嵌めるつもりなのだろう。
「――部屋取ってあるんだけど」
「っ!」
耳元で囁かれ、本日何度目かの心臓が飛び出す。
「泊まる?」
「……うん」
耳まで真っ赤になっているだろうと自覚しながら、小さな声で頷く。
きっとイジワルな笑みを浮かべているのだろうと思ったけれど、信士くんはどこか安心したように表情を綻ばせていた。
その笑顔があまりにもかわいくて、私はまた彼に恋をした。
そして思う、この恋は私が自分の力で運命に変えたのだ、と。