この恋を運命にするために

エピローグ



「っ、ん……っ」


 ホテルのスイートルームに入った途端、壁に押し付けられて唇を奪われる。
 軽く触れるだけの口づけではなく、貪るような深い口づけに溺れそうになる。


「んん……っ」


 いや、もう溺れてる。
 初めてのキスでもないのに、彼の舌が何度も往来する度に背筋がぞくぞくと痺れる。

 自分でも無意識に彼を求めて必死に舌を絡めると、優しくも強引に絡め取られる。
 やっと唇が離れた頃には、脳内が蕩け切ってふわふわしていた。


「っ、はぁ……」
「煽ってる?」


 無意識に吐息が漏れ出てしまっただけなのに、信士くんは熱を込めた視線を私から離さない。


「……へ?」


 煽るどころか信士くんのせいで立っているのも精一杯なのに。
 このまま流されたくないって思ってるのに、身も心も溶かされまくってぼうっとする。

 全部全部信士くんのせいなのに。


「かわいい」
「や……っ」


 お願いだから、耳元で囁かないで。
 信士くんのちょっと低いけど甘すぎる声が鼓膜を揺らす度、全身が痺れる。

 そもそもこんなの知らない、聞いてない。
 恋人モードの信士くんがこんなにも甘いだなんて……!


「着物を脱がせるって興奮するよね」
「っ、まって……!」
「ここまできてお預け食らうの?」
「シャワー浴びたいから……!」


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