第零作★血文字の告白★
 終幕 ― 告白の意味(救済型)

 夜明け前、私は再び廃屋へ向かった。
 壁に残された数々の血文字――「ゆるして」「ごめんなさい」「たすけて」。
 それらは呪いではなく、ずっと伝えようとしていた声だった。

 奥の部屋に入ると、床下に隠された空間が見つかった。
 薄暗い地下室には、古びたランドセルと、小さな骨の残骸。
 ――神谷家の娘だった。

 私は手を合わせ、震える声で呟いた。
 「君の言葉は、届いたよ。もう一人じゃない」

 その瞬間、壁の血文字が淡く滲み、最後の一行が浮かび上がった。

 「ありがとう」

 涙がこぼれた。
 二十年を超えて、ようやく小さな告白は解き放たれたのだ。

 事件は世に明るみとなり、元駐在の罪も暴かれた。
 村人たちは沈黙を悔い、娘の墓標を建てた。
 私は記事を書き終え、机に原稿を置いた瞬間、不思議と胸の重みが消えていた。

 ――あの小さな声は、もう二度と血で叫ばなくていい。
 「血文字の告白」は、静かな眠りへと帰ったのだ。
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