皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
「は、はい。」

胸の奥からこぼれた返事は、何だかくすぐったくて……けれど、嬉しかった。

「まあ、可愛らしい。」

夫人は微笑み、私の手を取って自室へと案内してくださった。

「こちらよ。もう使用人に用意させてあるの。」

扉を開けた瞬間、息を呑む。

クローゼットには色とりどりのドレスがずらりと並んでいた。

深紅、翡翠、生成り、淡い桜色……見たこともないほど豪華で、華やかで。

「うわあ……」

思わず声が漏れる。

「どれも可愛いでしょ。」

夫人は楽しそうに一着を取り出し、私の体に当ててみる。

次々とドレスをあてがいながら、「これも似合うわ」「こっちの色も映えるわね」と声を弾ませた。

「私には娘がいないから……こうしてあなたと一緒に選べるのが、本当に嬉しいの。」

その言葉に胸が熱くなった。

ただの侍女だった私を、娘のように迎えてくれる――その優しさに、目頭がじんわりと熱を帯びた。
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