皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
毎日のように続く講義と、容赦ないダンスの練習。

体は重く、頭もぼんやりして、気づけばため息ばかりついていた。

「エリナ。」

先生の声にハッとする。

「どうしたんですか。休みますか?」

「いいえ……大丈夫です。」

すぐに首を振った。

そう、一日でも早く――公爵令嬢として認められたい。

それが、セドの隣に立つ唯一の道なのだから。

授業が終わっても、私は机にしがみついた。

疲れた体を引きずって、図書室に足を運ぶ。

蝋燭の灯りに照らされた本の山。

礼儀作法、歴史、貴族社会の慣習……一冊でも多く頭に入れようと、何度もページをめくった。

ペンを握る手は震え、目は霞んでも、諦める気にはなれなかった。

「私が妃になる……その日のために。」

心の奥でそう呟きながら、夜が更けても書き写す手を止めなかった。
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