皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
「起きたか。だいぶ疲れているようだな。」

低い声に目を瞬かせた瞬間――「ぎゃ!」思わず変な声が出てしまった。

「……まさか本当に、セドが……!」

彼は小さく笑いながら首をかしげる。

「何?俺の夢でも見てたの?」

顔が熱くなり、恥ずかしさに耐えながら、私はこくんとうなずいた。

「かわいいな。俺の夢で微笑んでいたなんて。」

その囁きと同時に、セドの唇が重なった。

「あ、セド……」

甘い温もりが胸いっぱいに広がり、疲れ切った心まで癒されていく。

彼は唇を離すと、いたずらっぽく目を細めた。

「にしても、図書室で寝るって……ひどくない?」

「そ、それは……」

言葉に詰まり、両手で顔を隠す。

セドはそんな私を優しく抱き寄せ、肩に顎をのせながら小さく笑った。

「無理するな、エリナ。俺の妃になるために倒れられたら困る。」
< 111 / 151 >

この作品をシェア

pagetop