皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
本棚の影に寄りかかりながら、荒い呼吸を整える。

互いの熱を確かめ合った余韻に包まれて、私はセドの腕の中で身を震わせていた。

「エリナ……」

セドは私の髪を撫で、額にそっと口づけを落とす。

「おまえを妃にする。それは必ず実現させる。」

その言葉は、甘いささやきではなく、未来への誓いだった。

「殿下……」

胸が熱くなり、涙がこぼれそうになる。

「どんな障害があっても、俺は諦めない。たとえ誰に反対されようとも、おまえを手放すつもりはない。」

力強い瞳に見つめられ、私はぎゅっと彼の胸に顔を埋めた。

――ああ、この人となら、どんな運命でも歩いていける。

静まり返った図書室に、私の小さな嗚咽と、セドの深い誓いだけが響いていた。
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