皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
月明かりの下、セドが私の手を取ったかと思うと――すっと片膝をついた。

「えっ……⁉」

心臓が飛び出しそうになり、慌てて声を上げる。

「待って下さい!皇太子殿下が……ひざまずくなんて!」

「一生に一度くらい、ひざまずいてもいいだろう。」

セドは微笑みながら、真っ直ぐに私を見上げてくる。

その姿に、胸が締めつけられるようにドキドキと高鳴った。

まさか――あの誇り高い皇太子殿下が、自分のために膝を折るなんて。

「セド……」

声が震える。

彼の指が私の手を優しく包み込み、その温もりが心まで伝わってきた。

夜空の星々の下、私はただ息を呑み、その瞬間を焼き付けるしかなかった。
< 131 / 151 >

この作品をシェア

pagetop