皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
「エリナ……」

月明かりに照らされたセドの声は、真剣そのものだった。

「俺が傷ついた時――君に何度癒されたか、分からない。」

彼の言葉に、胸の奥が熱くなる。

あの日々、泣きながら寄り添った時間が脳裏に蘇る。

「生涯、君だけだと誓う。」

その瞳には一切の迷いがなく、ただ私だけを映していた。

セドは懐から小さなケースを取り出し、ポケットから指輪を取り出した。

月明かりに煌めくそれは、繊細な銀細工に宝石が光を宿していた。

「俺と結婚してくれ。」

差し出された指輪に、視界が滲む。

胸がいっぱいになって、息が詰まりそうだった。

「殿下……」

震える声で名を呼ぶと、セドは真剣な眼差しを崩さず、ただ私の答えを待っていた。
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