皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
「本当に……私でいいんでしょうか。」

涙で滲む視界の中、私はかすかに問いかけた。

セドは柔らかく微笑み、即座に答える。

「俺の結婚相手は、エリナしかいないと思うよ。」

その真っ直ぐな言葉に、胸が熱く震えた。

迷いも不安も、すべて溶けていくようだった。

セドはゆっくりと立ち上がり、私の左手を取る。

月明かりの下、指輪が私の薬指にはめられる。

「……殿下……」

「いいね。」

セドは満足げに笑みを浮かべた。

「もう今日から、君は俺の婚約者だよ。」

その言葉に、涙が頬を伝った。

でもそれは、決して悲しみの涙ではなく――胸いっぱいの幸せがあふれた証だった。
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