皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
国王の厳しい表情が、ほんの一瞬だけ柔らかく緩んだ。

私は胸に手を当て、深く頭を下げた。

「ありがとうございます。」

セドは誇らしげに私の手を取り、その笑顔は誰よりも幸せそうに輝いていた。

喝采と沈黙の狭間で、国王は玉座へと戻り、ゆっくりと腰を下ろした。

その厳格な眼差しが、私とセドを射抜く。

「……セドリック。」

「はい、父上。」

「おまえの妃は、もはや疑いようもあるまい。」

国王は深く頷き、広間全体に響き渡る声で宣言した。

「ここに、公爵令嬢エリナを皇太子妃とする婚約を、正式に認める。」

一瞬の静寂の後――轟くような拍手と歓声が広間を揺らした。

「皇太子妃万歳!」

「セドリック殿下とエリナ令嬢に祝福を!」

目頭が熱くなり、私は涙を堪えながら深々と頭を垂れた。

隣ではセドが誇らしげに立ち、私の手をしっかりと握りしめている。

「やったな、エリナ。」

耳元に囁かれた声は、幸福と愛に満ちていた。
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