皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
ついに――執務室でもセドは私を抱いた。

「殿下、こんなところで……!」

声を潜めて抗議しても、セドの瞳は揺らがない。

「我慢できないんだ。エリナ……おまえが欲しい。」

机の上には処理しきれないほどの書類の山。

それを背に、私は殿下の腕の中で身動きが取れなくなる。

「だめです……誰か来てしまったら……」

必死に囁くけれど、返ってくるのは熱い口づけ。

「声を抑えろ。……ここには俺とおまえしかいない。」

重なった唇の合間から、吐息が漏れる。

広い執務室に響くのは、二人の荒い呼吸音だけ。

背徳の甘さと、止められない熱。

机に散らばる紙の上に影が揺れ、私は彼の名を押し殺して呼んだ。

「セド……っ」

書類の山の中に響く吐息は、もう隠しようがなかった。
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