皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
「エリナ……」

アルキメデスの腕に抱かれ、言葉を失っていると――背後から低い声が響いた。

振り返った瞬間、心臓が止まるかと思った。

そこに立っていたのは、皇太子セドリック殿下。

「殿下……!」

慌ててアルキメデスの腕から離れようとしたが、彼は離さなかった。

セドの瞳は鋭く光り、ただ私とアルキメデスを見据えていた。

「……なるほど。エリナを泣かせたのは、慰めるためか?」

「そうです。」

アルキメデスは一歩も退かず答える。

「殿下に抱かれて泣くくらいなら、俺が……」

「アルキメデス!」

私は必死に声を上げた。

「違います、殿下を悪く言わないで!」

二人の間に立とうとするけれど、セドの視線は私に突き刺さる。

「エリナ……おまえは俺を選ぶのか。それとも……」

胸が締めつけられる。

二人の想いに挟まれ、言葉が出てこなかった。
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