皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
「エリナの好きな方を選べばいい。」

アルキメデスの言葉は真っ直ぐで、優しさすらにじんでいた。

その瞬間、私はこらえきれずに涙を溢れさせた。

「エリナ……?」

アルキメデスが驚き、セドまでもが息を呑む。

「もういい。泣かなくて。」

アルキメデスが私の肩に手を伸ばす。

「俺を選べばいいんだ。」

その腕に抱かれそうになった時――。

「やめろ!」

セドが私の腕を強く掴んだ。熱を帯びた手に、全身が震える。

「殿下……?」

「俺が悪かった。」

低い声でそう告げると、セドはアルキメデスの手から私を奪い取るように抱き寄せた。

「エリナが惚れているのは俺だ。抱き寄せるのは……おまえじゃない。」

力強い宣言に、アルキメデスの表情が凍りついた。

二人の男の間で、私はただ涙に濡れ、声を失っていた。
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